こんにちは。
いらっしゃいませ。
前回は、ピアノのクリーニングとは?どのタイミングで行うのが効率的か、という内容をお伝えしました。
今回は、ピアノを解体大修理!内部をリニューアルするオーバーホールとは?という内容で、お伝えしたいと思います。
ピアノの内部をリニューアルするオーバーホール
オーバーホールを選ぶ理由はなんでしょうか。
買い替えるより安く済む。エコだから。
外国製のピアノは古いピアノもずっと修理して使っているから。
いろいろなところから、確かに上にあげたような情報が入ってきます。大切に使うということは、とても大切なことだと思います。
ですが、
大掛かりなオーバーホールを行い内部のパーツを新しくしても、ピアノそのものが新品になるわけではありません。
それをご理解いただいた上で、そのピアノに思い出があり消耗が激しいけれど、どうしても手放せない、買い替えるよりも痛んだ中身を新しくしたいという方のご希望に合わせて行う方法です。
では、オーバーホールとは、どのような作業を行うものなのか、お伝えしたいと思います。
オーバーホールを行うピアノに起きている症状
- オーバーホールを必要とする症状は、チューニングピンの保持力が弱くなり、いわゆるピンズルという症状を起こしているピアノ。
- 響板というピアノのスピーカーの役目を果たしている板が、過乾燥などを原因として割れを起こしているピアノ。
- 弦の錆がひどく、アクションの消耗が激しいピアノ。
そういった症状があるピアノにご提案させていただく作業がオーバーホールです。
ピアノの解体大修理となるオーバーホールは、クリーニングと同じように見積書を作ってもらいます。
2~3案を出してもらい、ご予算に合わせてご検討いただくことをお勧めします。
作業内容
外装は、ご要望があれば傷修理ではなく塗装をはがして新たに塗りなおすことも可能です。
内装は、弦を外し、チューニングピンを抜き、鉄骨を外して分解します。
響板が割れている場合は、その割れを埋める修理を行いニスを塗りなおす。鉄骨の塗装も必要があれば行います。
鉄骨を外装ケースへ戻して設置した後、チューニングピンを新たに打ち込み、弦を張り張力を上げて整えていきます。
アクション部分は、アクション及び鍵盤パーツの交換、フェルトの張替えなどの作業を行い、寸法を合わせ揃えて整調を行います。
仕上げまでに調律は音のピッチと音程を落ち着かせるために何度も行います。
弦は70~80キロの張力がかかっていると、調律のお話をしましたときにお伝えしましたが、新しい弦は伸びるものですから、落ち着くまで繰り返し行います。
搬入後、点検の調整と調律を行います。オーバーホールの場合、搬入後は1年の間に数回の調律と整調を必要とします。
お見積書の内容をしっかりご確認ください。
作業時間と費用
作業内容によりますが、お預かりして実質の作業日数は、2週間から数か月かかります。
作業内容で、だいぶさらっと書いてしまいましたが、なかなかすごい作業です。
外装塗装などは無しで、4人~5人が朝から夕方までかかりきりで、一週間ほどかかります。
鉄骨も重いので、人数がいないと動かせないですし、調律師がすべて行うものなので、やはり男性の職業なのだということを実感する作業です。
そしてなにより、解体大修理で内部のパーツを新しく変えるということは、ピアノにとって大手術なのです。人間も手術後はリハビリしたり、検査を続けたり、術後の経過観察が大切になりますよね。ピアノも同じだということをご承知おきください。そのあとのメンテナンスがとても大切になります。
時間がかかるということは、今現在、練習が必要な方には不向きな選択だということがわかります。買い替えであれば、その日のうちに新しいピアノで練習が続けられるからです。
そして、気になる費用は、運送費は別に、80万くらいから100万以上となります。
パーツが、メーカーや機種により価格が変わること。ピアノによっては低音部の巻線を特注で作る必要があるからです。
実際、費用と時間を考えると、買い替えたほうが早いと思います。
アップライトピアノは、新品が買える額になることもあると思います。
それでもなお、思い出の詰まった大切なピアノをオーバーホールされて、永くお使いいただく方は少なくありません。私たち調律師も、お客様の大切なピアノを精一杯良い状態に仕上げるよう努力しています。
運送に関しましては、距離などにより費用が異なります。
ご依頼いただいた調律師が、丁寧に運んでくれる運送業者のお見積もり額を調べてくれますのでお任せください。
そして、どうぞご不明な点がありましたときは、担当の調律師に確認してください。
ピアノ調律師は口下手な人も少なくありませんので。どうぞ、ご遠慮なく。
まとめ
今回は、ピアノを解体大修理!内部をリニューアルするオーバーホールとは?という内容でお伝え致しました。
いかがでしたでしょうか?
ご自宅やご実家にあるピアノを、どうしようかとお考えの方のお役にたてれば幸いです。
今回も、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
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